ディズニーシーで「空気より重い航空機」の開発に尽力した3人の研究者のお話

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現代では当たり前のように飛行機で空を飛ぶことができる人類ですが、こんな風に空を飛べるようになったのは、人類の長い歴史から見れば、ごく最近のことです。
それよりももっと昔、人類は紀元前から空を飛ぶことを夢見て、その方法を追求してきたのです。

そしてディズニーシーにも、そんな人類共通の夢を追い求めた三人の研究者がいました。
それがレオナルド・ダ・ヴィンチ、ネモ船長、カメリアファルコです。

この三人の研究者たちは何を考えて空を飛ぼうと志し、それぞれどのようなアプローチで飛行機の開発を試みたのか、この記事ではそんなお話をしていこうと思います。

ディズニーシーは「海」をテーマとしたパークであると同時に、「空」にも深い関わりがあるパークなのです。

人類はずっと「空気よりも重いもの」で空を飛びたかった

空を飛ぶための道具は「航空機」と呼ばれます。
ここでは航空機を大きく2種類に分けてみましょう。2種類というのは「空気よりも軽いもの」と「空気よりも重いもの」です。

例えば気球のような「空気よりも軽いもの」は、プロペラとか翼とかが無くても当たり前に浮かび上がります。
一方、ヘリコプターのような「空気よりも重いもの」は、自然には浮かぶことはできませんが、プロペラなどの力を使って浮かぶことができます。

気球はすごい発明ですが、気球が発明された当時も、それに満足しない発明家は多かったことでしょう。というのも、気球は風の影響をフルに受けてしまいますし、天候にも強く左右されます。

人類がずっと志していたのは「空気よりも重いもの」で空を飛ぶことだったんです。
なぜなら、空気より重いものならば、風の影響を受けず、空を自由に速く飛び回ることができるから。

とはいえ、ライト兄弟がライトフライヤーを完成させるまで、多くの研究者が「空気よりも重い航空機」の開発に挫折してきました。空気より重いもので空を飛ぶという人類の夢は、想像以上に困難なことであったのです。

空気より重い・軽いって?

何も定義なしに「空気より重い」とか「空気より軽い」ってフワフワした表現しちゃってますが、これは厳密に言うと「密度が空気より大きい」、「密度が空気より小さい」ってことです。

例えばプーさんは「空気よりも重い(空気よりも密度が大きい)」ですが、風船を装備すると「空気よりも軽くなる(空気より密度が小さくなる)」ので、浮かび上がります。

そういえばアトラクションでもプーさんめっちゃ風に流されちゃってましたね。これがまさに空気よりも軽いデメリットです。

レオナルド・ダ・ヴィンチは羽ばたき飛行機を開発しようとしていた

人類の歴史上、数多くの発明家たちが「空気よりも重いもの」で空を飛ぼうと試みてきました。
ソアリンの博物館入り口にある庭では、そんな発明家たちの努力の歴史を見ることができます。

レオナルド・ダ・ヴィンチもそんな発明家の一人です。
レオナルドは画家として非常に有名ですが、実は化学や医学、工学など、様々な学問でも研究を行ってきた、とんでもない天才なんです。

そんなレオナルドが1490年に考案した飛行機が「オーニソプター(羽ばたき飛行機)」です。
フォートレスエクスプロレーションにはオーニソプターのプロトタイプが飾られていますよね。

「オーニソプター」とは「羽ばたき飛行機」という意味があり、その名の通り、翼を羽ばたかせて空を飛ぶ仕組みです。

ただ、レオナルドはオーニソプターを考案しただけで、これが実際に空を飛ぶことはありませんでした。
彼のような天才でも、空を飛ぶという人類の夢を実現することはできなかったんですね。

そもそも羽ばたき飛行機で空を飛ぶことは難しい

飛行機を発明しようとしたとき、人は自然と羽ばたき式の飛行機を考えます。
だって、大昔から人類にとって最も身近な空を飛ぶ存在は「鳥」だからです。

しかし、あの天才のレオナルドダヴィンチを含め、どの発明家も羽ばたき飛行機を実現させることはできませんでした。

飛行機を想像してほしいんですが、現代の飛行機は基本的に「固定翼(翼が機体に対して固定されているタイプ)」、つまり「羽ばたかない飛行機」なんです。
羽ばたき式の飛行機が実際にバサバサ空を飛んでるところなんて見たこと無いですよね。

実は羽ばたき式の飛行機って飛ばすのがめちゃくちゃ難しいんです。空気を掴む複雑な構造の翼と、それを羽ばたかせるパワーが必要になります。
揺れも大きいですから、人を乗せるなら実用性も微妙です。

一方固定翼式は、固定翼を使ってグライダーのように空を滑空しながら、プロペラやジェットの力で推進力を得て空を飛びます。
複雑な構造の翼は必要ありませんし、揺れも少ないので実用的です。

人類で初めて有人飛行に成功したとされるライト兄弟も、固定翼式の飛行機で空を飛びました。

カメリアファルコは人類初の「空気より重い航空機」を発明した

ソアリンの話に戻りましょう。

先ほども言ったように、歴史上初めて「空気より重い航空機」で空を飛んだのはライト兄弟です。
しかしライト兄弟よりも先にその偉業を成し遂げた人物がディズニーシーにはいます。それがカメリアファルコさんです。

カメリアファルコは幼い頃から空を自由に飛び回ることを志し、生涯をその研究に捧げました。そして遂にドリームフライヤーという「空気より重い航空機」を完成させたのです。

ちなみにソアリンのプレショーでは、カメリアファルコのこんな台詞があります。

幼い頃、気球が空高く舞い上がるのを両親と見たその時、いつかきっと私も空を飛べる日がやってくると思いました。

これまでの話を踏まえると、この台詞の感じ方も変わって来るかと思います。

「気球のような風の影響を受けやすい航空機ではなく、空気よりも重い航空機で空を自由に飛び回りたい」という、カメリアファルコの意思が伝わってくる気がしますね。

ドリームフライヤーが空を飛ぶ仕組み

さてここで気になるのは、カメリアファルコのドリームフライヤーは羽ばたき式なのか、固定翼式なのか、ということですよね。

レオナルドダヴィンチをはじめとした多くの発明家は、鳥に倣って羽ばたき飛行機を考案しましたが、それが空を飛ぶことはありませんでした。一方ライト兄弟のような20世紀の発明家たちは、固定翼という別の発想で空を飛びました。
カメリアファルコのドリームフライヤーはどちらなのでしょうか?

私は「羽ばたき式」なのではないかと考えています。
理由は以下の二つ。

  • ドリームフライヤーのデザインが、明らかにレオナルドが考案した羽ばたき飛行機をモデルにしていること
  • 固定翼式に必要な、推進力を得るためのプロペラなどが見当たらないこと

ちなみに言ってしまうと、多分イマジニアさんたちはドリームフライヤーの仕組みまでは考えていないと思います。考えていればキューラインに設計図やら解説図がありそうですからね。

ミステリアスアイランドは解説図だらけで楽しいのに!

仮にもしドリームフライヤーが羽ばたき式ならば、これは凄いことですよね!
カメリアファルコは固定翼に逃げず、数多くの発明家が不可能だった羽ばたき飛行機をあの時代に実現したことになるんですからね。

ネモ船長も飛行機を発明しようとしていた

ディズニーシーにはもう一人、「空気より重いもの」で空を飛ぼうとした発明家がいます。

我らがネモ船長ですね。

ネモ船長はミステリアスアイランドで「アルバトロス号」と呼ばれる航空機の開発に取り組んでいました。

ネモ船長の作業机にはそのプロトタイプの模型が飾られているのですが、その形は少し奇妙です。

気球がついているのは「空気よりも軽い航空機」の特徴ですが、固定翼でプロペラが付いているのは「空気よりも重い航空機」の特徴です。つまり両方の特徴を併せ持ってるんですね。

これはまだ試作段階の模型である可能性が高いため、試行錯誤の過程としてこのような不思議な構成になっているのかもしれません。

ただ、ミステリアスアイランドにはアルバトロス号のタイヤ痕だったり、アルバトロス号のための信号送受信器があることから、ネモ船長はアルバトロス号を完成させて既に運用していることが分かります。

原作のアルバトロス号は完全な「空気よりも重い航空機」

残念ながらネモ船長のアルバトロス号の完成した姿はどこでも確認することができないものの、アルバトロス号の元となった原作からその特徴を考えてみることはできます。

ミステリアスアイランドはSF作家ジュールベルヌの作品を再現したテーマポートであり、アルバトロス号はその作品の一つ、『征服者ロビュール』(1886)に登場する飛行機の名前です。

主人公のアンクルは、気球愛好クラブの会長で、「空気よりも重い航空機」は実用的ではないと考えていました。そこに謎の天才発明家ロビュールと、彼の発明したアルバトロス号(空気よりも重い航空機)が登場します。アンクルはその技術力に圧倒され、次第に考えを改めていく、というストーリーです。

この原作では、アルバトロス号は完全な「空気よりも重い航空機」でした。

このような原作のストーリーを鑑みると、アルバトロス号は「空気よりも重い航空機」であることこそが重要です。

ネモ船長が完成させたアルバトロス号も、その姿こそわからないものの、「空気よりも重い航空機」であることは確実だと言えるでしょう。

ミステリアスアイランドの時代設定は1873年付近ですので、ネモ船長はカメリアファルコと同時期に、別のアプローチで「空気よりも重い航空機」を完成させたというわけです。

おわりに

ドリームフライヤーの設計図とかをソアリン館内のどこかに貼っておいてほしかった…!

あとアルバトロス号をミステリアスアイランドにおいてほしかった…!(コンセプトアートの段階ではあったみたいです)

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